トランプの見習い制度は授業料タダで給料をもらう #43

及川幸久です。

前回、前々回と、トランプ政権の雇用政策「アプレンティス(見習い制度)」について紹介しました。

見ていただいた方からとてもいい質問をいただいたので、今日はその質問にお答えする形でやっていこうと思います。

このアプレンティスという英語は、「見習い」とか「徒弟」という意味です。この言葉を聞いて、ピンとくる方々がいらっしゃると思います。

トランプ大統領が有名になった、あのテレビ番組「アプレンティス」。まさにこの番組と同じ名前なんですね。

この番組は、番組のホストであるトランプ社長が、自分の右腕になる人を雇うために、見習いとしてアプレンティス――十数名の人たちを採用し、彼らにいろいろな課題を与えて毎週1人が脱落していくんですね。

その時に、“You are fired!”(お前はクビだ)という決めセリフを言うんです。それで有名になった番組です。

トランプ政権が行おうとしている雇用政策の「アプレンティス」は、“You are fired!”と言われる脱落者はほとんどいません。ほとんどの人が、このプログラムを修了すると、職にありつける。採用されるんですね。ここが最大の魅力です。

トランプ大統領は、このアプレンティス、新たな職業訓練の雇用政策をPRするために、ウィスコンシン州に行きました。前々回のトランプチャンネルでもご紹介しましたが、その時のことをTwitterで、こういう表現をしています。

「今、ちょうどウィスコンシン州に着いたところです。仕事、仕事、仕事!仕事について議論します」

ここで“JOBS,JOBS,JOBS!”と繰り返し言っています。「仕事、仕事、仕事!」というこの表現、過去のTwitterの中で何度か使っています。

まさにトランプ大統領がやろうとしていることが、ここにフォーカスされています。

そして6月15日、トランプ大統領は新たな大統領令に署名しました。それが、このアプレンティスという職業訓練制度を推進するという大統領令です。

このサインをする時に、スピーチをしています。そのスピーチの中で、チャールズというある退役軍人のことを紹介しています。

チャールズはつい最近まで、米軍の兵士として3回も実際の戦場に出向いて戦っています。まさに命を懸けて国家のために奉仕している。

そのチャールズが退役すると、他の多くの退役軍人と同じように、経済的に大変苦しい状態になりました。

軍隊で武器の使い方は学んでも、仕事のスキルがない。なので、職がないのです。

そこで、チャールズはウィスコンシン州でアプレンティスのプログラムに参加したわけです。

このプログラムに参加して、工場の機械の操縦の仕方、操作の仕方を学ぶんですね。そして、このコースが修了したあと、チャールズは採用が決まります。その初任給は6万ドル、日本円で660万円。これは普通の初任給よりはるかに高い金額です。

授業料を払うのではなく給料をもらう

このアプレンティスというプログラムは、れっきとした大学の授業です。

しかし、授業料はタダ。そして、給料まで出ます。学びながら給料をもらう。それも年間3万から3万5,000ドルぐらい。

ちょっと信じられないかもしれませんが、学びながら給料をもらえるというのが、このアプレンティスという制度の最大の特徴です。

日本では、高等教育の無償化などということが出ていますが、無償化どころか、給料までもらえるわけです。

それはなぜかというと、そのあとに着実に仕事に直結しているからです。仕事に直結しているものでないと、ただ無償化にしてもあまり意味はありません。

認可を出すのは政府ではなく企業

そして、大学の授業ですので、カリキュラムの内容を誰かが認可しなくてはいけません。

政府がお金を出しますので、普通は政府が認可するのですが、これはそうではありません。企業が認可しています。

実際には、企業であったり、その企業の業界団体や労働組合がプログラムの内容に関わって、そして認可を出すようになっています。

日本の文部科学省のように、お金を出すから口も出す、許認可権を振りまわすということはなく、許認可をなんと民間に与えています。

企業にとっては、社内に大学のコースを一つ作るようなものなんですね。

アプレンティスは製造業だけではない

さらに、このアプレンティスというのは製造業だけではありません。あらゆる業界にこの制度を入れようとしています。

例えば、工場ではなく高層ビルのオフィスの中で働くような業界。例えば、金融業でも、このアプレンティスはすでに使われています。

現在、アメリカでは600万人分の企業の仕事が欠員になっていると言われています。これは史上最高レベルです。なぜそれだけの仕事があいているか。

それは、企業が必要とするスキルを持っている人がいないからです。

このアプレンティスによって、1年、2年、3年かけて、その間の給料を出してでも、そのスキルをつけてもらう。そうすれば即戦力になるわけです。

また同時に、失業率は確かに下がっていますが、なぜ下がっているかというと、労働参加率、そもそも職を探していてもスキルがないので、自分のやりたい仕事をやらせてもらえない。そういう人たちは、もう職探しを諦めてしまっているんですね。

しかし、スキルを与えて、もう一度労働市場に戻ってきてもらう。

そこに大きな目的があります。

ですので、このアプレンティスという制度は、製造業、工場で働く人だけではなく、オフィスやありとあらゆる業界にこの制度を拡げようとする。それが、今回のトランプ政権の新しい大統領令の内容です。

実は、この制度の先進国はドイツです。

ドイツではすでにこの制度があり、高校卒業後にアプレンティスのプログラムを選ぶ人が、約半数もいるというのです。

それはなぜかというと、必ず就職ができるからです。

アメリカでもいくつかの州では、すでにこの制度を使っています。そして、この制度を通してプログラムを修了した人たちの87%が、就職できるようになっています。

それも、初任給は先ほどのチャールズと同じように、6万ドルぐらいもらえるんですね。

アメリカの企業の中では、チャールズのような退役軍人を積極的に採用するために、まずこのアプレンティス(見習い制度)によってスキルを習得してもらう。それから採用するという企業が増えているそうです。

あなたの“夢”は何ですか?

このアプレンティス、見習いになる人たちは、みな夢があります。

自分はこれをしたい、自分はこういう自分になりたい。

そういう夢。

それがまさに、その人をあらわしています。

しかし、夢というのは、何もしなければ実現しません。

自分を変えるためにスキルを学ぶ。そのチャンスを与えてくれるのが、このアプレンティス。

アプレンティスというのは、まさに「夢の実現」に直結しているのです。

この話は、「夢とはいったい何なのか」「私たちは、一人ひとりはいったい何を実現しようとしているのか」

その夢の実現を考えさせてくれる、とてもいい話だと思います。

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