イヴァンカ・トランプの人材開発戦略 #41

トランプ・チャンネル、及川幸久です。

トランプ大統領の長女、イヴァンカ・トランプさんは、大統領アドバイザーとしてホワイトハウスのスタッフになっています。それも無償のスタッフです。

そのホワイトハウス、先週は実はインフラウィークということで、トランプ大統領の経済政策の一つ、1兆ドル規模の資金をアメリカ中のインフラ、特に交通インフラに投資するという政策に関して、具体的なさまざまなプログラムを発表することになっていて、実際にやったんですけれども、しかし先週はあのFBI元長官の議会での証言があり、1週間これで持ちきりだったので、せっかくこのインフラウィークというのをPR的にぶち上げたのですが、話題はそちらに取られてしまいました。

今週、ホワイトハウスはこのインフラウィークに関連して、今度は人材開発ウィーク、人材開発・人材育成についての新たなプログラムを発表することになっています。

主な内容は2つ。1つは、今政府がすでに行っている職業訓練のプログラムを大幅に変革すること。

もう1つは、新しく導入するものとして、見習い制度、見習いプログラムを入れることになっています。

この人材開発全体の指揮を執っているのが、トランプ大統領の長女、イヴァンカです。

イヴァンカ自身はこの目的に関して、自身のTwitterでこう言っています。

「これから、アメリカをもう一度“働く国”に戻そう。そのために、国民の皆さんには、仕事で成功するためのスキルと訓練を提供します」

このトランプ・チャンネルの第14回で、トランプ政権の経済政策の中心にあるのはJob Creation、雇用を増やすということだと採り上げました。それも、「向こう10年間で2,500万人分の雇用を増やす」という大きな目標を掲げています。

では、どうやって雇用を増やすのか?

そのうちの一つが、企業が求めているスキルを持っている人材をつくるということです。

政府は、これに挑戦しようとしています。

働きたくても仕事がない人々

実はアメリカには今、働きたくても仕事がない人がたくさんいます。

アメリカの失業率は現在、4.3%。16年ぶりの低水準ということで、仕事がない人がほとんどいないはずなのですが、実はそうではなく、多くの人は本当は仕事を探していたのです。

「仕事を探していた」のですが、自分に見合った仕事がなかったので、職探しをもう諦めているのです。

その理由は、企業から求められているスキルがないので、やりたかった仕事が得られなかったわけです。

また、企業のほうも人を探しているのです。しかし、企業が求めているようなレベルのスキルを持っている人がなかなかいないので、人が見つけられずにいるわけです。

その結果、失業率は大変低くなっていますが、実際には職探しをもう諦めてしまった人たち、労働市場から出てしまった人たちがたくさんおり、いわゆる労働参加率が低くなっているので、結果的に失業率が低いように見えているだけなんです。

今週、トランプ大統領とイヴァンカは、ウィスコンシン州にある職業訓練学校に視察に行く予定になっています。その学校は、今まで政府がやっていたような職業訓練ではなく、最先端の技術を学べるような、新しいプログラムになっている学校です。

トランプ政権は、この学校のように、政府の職業訓練のプログラムを新たに変革しようとしています。これが一つめです。

ドイツの見習い訓練制度

二つめは、見習いプログラムです。「見習い」を、英語ではアプレンティスと言います。アプレンティスというのは、「見習い」や、徒弟制度の弟子という意味です。師匠がいて、その師匠から仕事のスキルを教えてもらう。この制度における見習いの側のことを、アプレンティスと言います。

この制度が進んでいるのが、ドイツですね。

ドイツはもともと、ものづくりが大変得意で、マイスター制度があります。このマイスター制度における見習い(アプレンティス)が、一般の企業にも導入されています。

これは、いわゆるインターンとは違います。インターンは半年ぐらいの非常に短い期間、見習いとしていて、給料は出ません。無給です。しかし、このアプレンティスという見習い制度は、2~3年、場合によっては5年ぐらいともっと長く、その間の給料も出ます。

今年4月、トランプ大統領が中東とヨーロッパを訪問した時、ドイツのベルリンにあるシーメンスの職業訓練センターを視察しています。

この時、このドイツの見習い制度を見ています。

イヴァンカは、このドイツの実践的な職業訓練のプログラムが、アメリカのモデルになると考えているわけです。

実はアメリカ国内にも、似たような制度はあります。それは建設業界です。これはまさに、建設業界にいたトランプ大統領自身も、よく知っているはずです。

人材開発戦略

そして今週、人材開発ウィークとしてイヴァンカがまず行うのは、アメリカの企業経営者、CEOたちを集めて、この人材開発についての討論会を行います。

と同時に、この人材開発、職業訓練を既にかなり実践している州の州知事たちを集めて、やはり討論会を行います。

この人材開発戦略の特徴は、超党派でできるということです。超党派ということは、与党とか野党で対立する、賛成派と反対派に分かれる政策ではないということです。

実際に数年前、あのオバマ政権がこのような政策をやろうとしていました。実現はしませんでしたが、考え方はまったく同じです。

イヴァンカはこれまで、この戦略を準備するために、議会のリーダーたちや企業の経営者、学生リーダー、州知事などと綿密に話し合いをしながら、準備を進めていました。

そして、この戦略全体の責任者がイヴァンカなのです。

トランプ政権というのは、国民に仕事のスキルと訓練の機会を提供することによって、これまで福祉政策、生活保護を提供してきたかわりに、仕事を提供する。国民を職場に導く。これを中心的な政策に置こうとしています。

一方、日本では、政府は休日の数を増やしたり、残業をできなくしたり、どちらかというと「働かせない」方向に向かっています。

しかし、今政府がやらなければいけないことは、アメリカも日本もJob Creation、休日を増やすことではなく、雇用を増やすことなのです。

 

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