英国総選挙の影響 ブレグジットは?トランプは? #40

及川幸久です。6月8日、アメリカでFBI元長官のコミー氏の議会証言が行われた、まさにその日、イギリスでは総選挙が行われました。

結果はたぶん皆さんご存じのとおり、与党の保守党が敗れたわけです。

なぜこの選挙があったかというと、保守党のメイ党首が、これから昨年決まったEUからの離脱(ブレグジット)の交渉をEU本部と行うにあたって、自らの政権基盤をより安定化することにより、この交渉を有利な方向に持っていきたい。

これはブレグジットの交渉のための選挙だったのですが、その思惑が見事にはずれてしまいました。

では、ブレグジットはこのあと、どうなってしまうのか?

結論から先に申し上げますと、ブレグジットには何の影響もありません。

ただ、この選挙の結果に大きな影響を与えたのが、直前にもありましたイギリスでのテロ事件です。今年に入って、イギリスでは3回も大きなテロが起きています。

特に、この選挙の直前、6月4日にあったロンドンでのテロ。この時に、トランプ大統領は自らのTwitterで、アメリカ国民ではなくイギリス国民に、直接メッセージを送っています。

その内容は

「私たちアメリカ合衆国は、皆さんのため、ロンドンの皆さんとイギリスの皆さんのためにできることがあれば、何でもやらせていただきます。そして、私たちの心はすでに今、皆さんと共にある。神のご加護を」

という内容です。

ここでトランプ大統領が直接、イギリス国民にメッセージを送ったというのには、意味があると思うのです。というのは、昨年、イギリス国民はブレグジットを選びました。そして、アメリカの国民はトランプさんへの投票をしました。

この両者には、共通点があるわけですね。

それは、主にイギリス・アメリカ両方の中間層の人たちが、移民問題などによって大きな影響を受け、生活が苦しくなり、貧乏になり、その結果、“繁栄”を求めた。

EUと、オバマ・ヒラリーの民主党の路線の両方に共通するのは、リベラル勢力ということでした。

このリベラル勢力に対して反旗を翻したのが、昨年のブレグジットであり、トランプの当選だったわけです。

イギリス二大政党の違い

イギリスには二大政党がありますが、この違いはいったい何でしょうか。

今回の選挙で、まずブレグジットの実行に関しては、保守党も共和党も両方とも「実行します」という公約を入れています。なぜならば、EU脱退は昨年の国民投票での民意なので、それは尊重することです。

違いがあったのは、他の政策です。今回労働党が票を伸ばしたのは、富裕層への課税によって富の再配分をやるということでした。さらには、国民の医療サービスの大きな拡大。そして、大学の授業料の無償化、小学校の30人学級の実現。このように、医療と教育に力を入れた政策になっていました。

一方、保守党のほうは、介護費用について、実質増税のような政策を出してしまいまして、それが高齢者の反感を買いました。

それでは今、いったい何が起きているのか?

2016年は“革命”の年だった

昨年2016年というのは、実は“革命”の年だったのです。

昨年6月、イギリスでは国民投票で、EU離脱(ブレグジット)が決まりました。これは大きなサプライズでした。

そして11月、アメリカではトランプ大統領が当選。これもサプライズでした。

しかし、この両方の現象は、本質的には同じものをあらわしています。先ほど触れたように、「リベラルに対する否定」でした。

これを、仮に“トランプ革命”と呼びます。

しかし今年、2017年、今何が起きているかというと、昨年の“革命”に対して“反革命”が起きているわけです。

昨年のトランプ革命は、リベラルを否定するものでした。

そして今起きているのは、このリベラルの逆襲です。

ニューヨークのあるリベラルのマスコミの論調でいいますと、

「そもそも昨年のトランプ当選というのも、得票数ではヒラリーのほうが上だったじゃないか。わずかな差でトランプが当選しただけだ。そして、去年のイギリスのブレグジットにしても、実際には賛成と反対が52:48。これも僅差だった。

今、時間がたって、人々も正気に戻って、今だったら両方とも反対派が増えている。」

実際に今週のトランプ大統領の支持率は30%台の後半、大変低いのです。そして、このイギリスとアメリカで起きていることとまったく同じことが、今年ヨーロッパでも起きたじゃないか。

例えば、オランダでは総選挙がありました。ここでトランプ大統領とほぼ同じ考え方のオランダの右派の勢力が、きっと総選挙で第一党を取ると思われたのですが、躍進はしたものの、結局、第一党にはなれませんでした。

まったく同ように、フランスではフランス大統領選挙において、マリーヌ・ル・ペンが最後の決選投票までいきましたが、結局最後は勝てませんでした。

このように、昨年から始まった、この“トランプ革命”と言われる革命の勢力は、今、後退し、リベラルが逆襲しているわけです。

トランプ政権への影響は?

では、このイギリス総選挙の結果は、アメリカのトランプ政権にどんな影響があるでしょうか?

先ほどのニューヨークのリベラルメディアの論調でいきますと、

「来年、アメリカは中間選挙がある。このイギリスの総選挙の結果から類推すると、来年アメリカでは民主党が勝つだろう。これが昨年からのアメリカの反リベラルに対しての、リベラルの逆襲である。そして実際に、トランプ大統領はFBI長官の問題と、ロシア疑惑によって、いよいよ大統領の弾劾の可能性が高まっているじゃないか。今はイギリス国民もアメリカ国民も正気に戻って、もう二度と去年のような大きな間違いはしないだろう」

まあ、こんな論調になっています。

ブレグジットには、何の影響もない

しかし、今日のテーマ。この選挙の結果によって、ブレグジットはどうなるか。

ブレグジットは、何の影響もありません。

そもそも、昨年のEU離脱(ブレグジット)と、今回選挙に負けた保守党とは別物です。もともと保守党はブレグジットには反対でした。メイ首相自身も反対だったわけです。

そもそもこのブレグジットを推進したのは保守党ではなく、イギリス独立党という別の政党でした。このイギリス独立党は、1年前までは大変な人気がありました。この政党によって、ブレグジットは成功したわけですが、今この政党はだめになっています。

つまり、今回のイギリスの総選挙で負けたのは、あくまでもメイ首相の保守党であって、ブレグジットの勢力が負けたわけではありません。

そして、イギリス国民は、じゃあ労働党を選んだのかというと、そういうわけでもありません。

労働党は確かに今回、30議席ぐらい議席を増やしていますが、実際の得票率はわずか30%です。

議席も増えてやっと232になったところです。負けた保守党でも、まだ330あります。

そして、この労働党の党首、ジェネミー・コービンという人は大変な人で、あのマルクスの信奉者です。イギリス労働党はリベラル政党ですけれども、このイギリス労働党の歴史の中でもっとも左の党首と言われています。

そして、あの中東の過激派組織「ハマス」と、北アイルランドの過激派組織IRAのシンパでもあります。

この人がもし近い将来、イギリスの首相になって政権でも取るようなことになったら、イギリスはあのサッチャーさんが現れる前の1970年代に戻ってしまうだろう、と言われています。

その頃、イギリスは労働党によって、財源もないのに福祉政策にどんどんお金をつぎ込み、そしてイギリス全体が倒産状態になっていました。

イギリス国民が、その時に戻るような選択をしようとしているわけではないのです。

実際に現時点でも、イギリス国民の過半数はブレグジットを指示しています。労働党ですら、選挙の公約の中に、ブレグジットの実行を入れています。

労働党の本音は、「ブレグジット反対」なのです。しかし、なぜ入れたのか?

それは、労働党の支持者ですら、約3分の1が「ブレグジット賛成」なのです。

このように、「ブレグジット賛成」の基盤は、実は底堅いのです。

そして一方、トランプ大統領も、決して窮地に陥っているわけではありません。この選挙と同じ日に、確かにコミー元FBI長官の議会証言がありまして、いろいろなことが出てきましたが、前回のトランプチャンネルでお伝えしたとおり、実際にはさまざまな疑惑は、ほとんどすべて晴れたも同然なのです。

しかし、このリベラルのマスコミのほうが、それを半分認めて半分認めていないというのが、今の状態です。

こうして、イギリスの政界は混乱に陥りましたが、そのことによってブレグジットが失敗することはありません。

イギリスの繁栄は、EUの外にあります。そして、イギリスの未来は、EUからの独立にあるのです。

 

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