カタール断交はトランプ効果? #37

及川幸久です。6月5日、突然、サウジアラビアや中東の湾岸諸国が、カタールに対して外交関係を断つというニュースが入ってきました。

その理由は、カタールがテロ組織を支援しているからだ、というんですね。

そして、サウジアラビアというと、このわずか2週間前に、アメリカのトランプ大統領が最初の外国訪問先として行ったばかりの国がサウジでした。

この問題の本質は、いったい何なのか?

それは、「もういい加減、テロリズムをやめさせよう。そして、このテロをなくすためには、イスラム教の改革が必要なのだ」という話なのです。

この件に関して、トランプ大統領は早速、Twitterでツイートしています。2つのTwitterです。

「私のサウジアラビアの訪問、そして50カ国のアラブ諸国の代表たちと会ったことが、すでに効果を生んでいる。それが見えるのが、大変いいですね」

これはどういう意味かというと、過激派に対しての資金提供について、厳しいラインを引くということなのです。そして、これらの言葉はすべて、カタールに向いている。

「たぶん、このことは、テロリズムの恐怖の“終わりの始まり”になるでしょう。」

このTwitterではトランプさん自身のサウジ訪問、中東訪問がpaying off(効果を生んでいる)と書かれています。ではいったい何が起きているのか?

イスラム諸国であるこの湾岸地域のサウジアラビア、UAB、バーレーン、こういう国々がカタールと国交を断つことによって、陸上や海上や空のカタールとの航路や流通をすべて断つというんですね。

そして、カタールのこれらの国にいた大使たち、外交官たちは、48時間以内に国外退去してくれという話です。

その理由は、主に2つです。

  1. カタールとイランの関係
  2. カタールのテロ支援

これらの湾岸諸国は、皆、イスラム教のスンニ派です。カタールもそうです。しかし、彼らスンニ派の共通の敵であるはずの、シーア派のイランとカタールの関係が、非常に親しくなっていました。

もう一つの理由は、カタールのテロ支援です。

テロ組織、特にムスリム同胞団という組織に、カタールは以前から資金援助しています。これをやめさせたかったんですが、なかなかやめない。これをはっきり「やめろ」と言っているわけです。

このことは、トランプ政権にとって、はたしていいことなのか?

たしかに、このムスリム同胞団をはじめとするテロ組織に対して、カタールが資金を提供することをやめさせられたら、大変いいことです。

しかし、一方で、副作用も考えられます。もしかしたらこのことによって、カタールがイランの陣営に入ってしまうかもしれません。

また、カタールがテロ組織への支援をやめるどころか、逆にテロへの支援をもっと多くするかもしれません。

そして、トランプ政権は基本的に、アラブ側にもカタール側にも、どちらの側についているわけでもないのです。むしろ、「反イランのために、これらアラブ諸国は団結してほしい」というのが、トランプ政権の希望なのです。

一部の日本マスコミで報じられていたのですが、「トランプはカタールとの断交を最初は容認した。それをよかったと、先ほどのようなTwitterで出していたが、そのあとすぐ態度を変えて仲裁に入ってきた。一転してアラブとの団結を要請してきた。トランプはいつもながら、コロコロよく変わるやつだ」という報道が出ていましたが、これはフェイク・ニュースです。

トランプ大統領は、中東からテロをなくそうと言っているのであって、カタールをつぶせとは言っていない。

それに、カタールには、アメリカの空軍基地があります。

カタールにあるアメリカ空軍基地は、海外にあるアメリカ空軍基地の中で世界最大のものなのです。そして、ISとの戦いで重要な基地です。

そのカタールを、トランプ政権が切り捨てるはずがありません。

カタールにある米軍のアルウデイド空軍基地

カタール断交は、トランプの中東訪問の影響か?

では、このことはトランプの中東訪問の影響なのか?

この2週間前、トランプさんは中東を訪問しています。それがこの「カタール断交」のきっかけになった可能性はあります。

というのは、前のオバマ政権が、サウジをはじめとした湾岸諸国を無視して、逆にあのイランに対して寛容な政策をとることによって、サウジをはじめとした湾岸諸国は中東の中で孤立した状態になっていたのです。

そこにトランプ政権が誕生し、トランプ大統領が最初の外国訪問地として、ヨーロッパにも日本にも行かずに、まずサウジにやってきて「今回こそ、テロを一緒に完全に撲滅しよう」ということを約束してくれたのです。

これによって、アメリカと湾岸諸国との関係は、リニューアルされました。

これに、アラブ諸国は感動して、この動きを起こした可能性があります。

それが、今日のトランプさんのツイート、paying off(=効果が出てきた)ということです。

イスラム教にイノベーションを

トランプ大統領が言いたいのは、「もういいかげんに、テロをなくそう」ということなんです。

イスラム過激派によるテロリズム、この問題解決を、国際社会そしてアメリカはずっと先延ばしにしてきました。その間に、テロはイギリス、ベルギー、フランスなど、各地に広まっていきました。

そして今、新しいアメリカ大統領が、本気でアメリカとアラブ諸国の力を合わせて、このテロを一掃しようとしているわけです。

そしてもっと深い意味として、このテロを本当になくすためには、そのもとにあるイスラム自体の変革が必要だということです。

イスラム過激派によるテロが世界に蔓延してから、よく言われるのは、「イスラム全体と過激派とは別ものなのだ」という言い方です。

しかし、それは本当にそうでしょうか?

そのもとにあるイスラム教の中に、「目的が正しければ手段は選ばない」という考え方が、若干ですが、入っていると思います。これが、テロという暴力を肯定する因子になっているのではないでしょうか。

そもそもイスラム教とは、キリスト教などのもっと先に出た宗教が広まったあとに、新たに出てきた宗教なので、他の宗教に対して非常に寛容な性質を持っていました。

その、もともと寛容な宗教だったイスラム教が、広まるにつれて、次第に過激になっていきました。

その流れをやはり一度反省して、ここでイノベーションすべきなのです。

本来の“寛容なイスラム教”に戻って、もっと世界と協調していく。そういうものが、今世界から求められているわけです。

本当にトランプ大統領の中東訪問が効果を生んできたとしたら、それは単にテロを一掃するということだけにとどまらず、イスラム教自身のイノベーションにまでつながる。

私は、それを期待します。

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