トランプ政権の福祉改革は全く新しい発想 #30

トランプチャンネル、及川幸久です。前回のトランプチャンネルで、トランプ政権が初めて出した政府の予算案に関して、アメリカのマスコミと議会からものすごい反発が出ているとお伝えしました。

反発が出ている原因というのは、この予算が今までの政権とまったく違ったお金の配分になっているからです。

何を変えたかというと、軍事費を思い切り上げて、福祉を思い切りカットしたからです。

これでは、確かに反発が出ます。

今日は、このトランプ政権の福祉政策について、見ていきたいと思います。

まず、今日のTwitterですが、いつもはトランプさんのTwitterを見ていますけれども、トランプさんのTwitterは実は2つあります。1つは、トランプさんが大統領になる前からずっとやっている@realDonaldTrumpというTwitterです。もう1つは、大統領になってからの、合衆国大統領としてのTwitterと、2つあるんですね。今日は、この2つ目のほうで、こういう発信がありました。

「我々の予算は、家族が第一という予算なのです」

これだけです。

「家族が第一」

――この短い言葉に、この予算案の特徴がよくあらわれています。

ミック・マルバニー 行政管理予算局長

トランプ政権の中で、この予算案の政策を担当したのは、ミック・マルバニーという予算局長です。マルバニー局長は、もともと共和党の下院議員でした。そして、あのティーパーティ運動の支持を受けていたので、いわゆる減税中心で、「小さな政府」論者なんですね。

この人が、今回のトランプ政権の予算局長に大抜擢されたわけです。

予算局長というのは何をするかというと、大統領の意向を受けて、予算案を作ります。そして、その案を議会に提出し、議会に説明するわけです。

前回のトランプチャンネルでも触れましたが、大統領が予算を作ることはできません。予算を作るのは、あくまでも議会なのです。大統領ができるのは、議会に作ってもらう予算の元となる考え方を、予算案として提出することです。

その、今回提出した予算案が、これです。“A New Foundation for American Greatness(偉大なるアメリカに向けての新たな基礎づくり”というタイトルがついています。

この予算案を作ったのが、ミック・マルバニーです。

彼は早速、議会に説明するために、上院の予算委員会に呼ばれています。そこでこの内容について、上院議員たちから質問を受けていますが、その中でも特に厳しい質問をしていたのが、昨年の大統領選挙でヒラリー・クリントンと民主党の大統領候補争いをやっていた、バーニー・サンダースです。

バーニー・サンダースは、この内容を見て、「これは弱者のための福祉を切り捨て、富裕層のための減税ばかりやっている、とんでもない予算案だ。グロテスクなほど、不道徳な予算だ」と批判していました。ものすごく怒ってるんですね。

予算委員会でマルバニー委員長を呼んで質問しているんですけれども、マルバニーが答えようとすると、答えさせないですぐに口を挟んで叱りつけるみたいな、そんなヒートアップしたやりとりがニュースになっていました。

トランプの福祉制度改革

では、このマルバニーが作った予算案というのは、本当に単なる弱者切り捨て、福祉切り捨ての予算なのでしょうか?

この内容を見ると、ここにトランプ政権が行おうとしている福祉改革が、よく現れています。今までのアメリカの国家予算というのは、全体の約4割を社会保障関係で作っているという、巨大な社会福祉国家の予算でした。確かに貧しい人たちは存在し、低所得者はアメリカの国家が提供する福祉予算、福祉サービスに生活を依存して生きている人たちがたくさんいます。

では、この貧困から人々を救うには、どうしたらいいのか。

その答えは、「仕事を与える」ということです。

仕事さえあれば、働ける人というのはたくさんいます。そういう人たちを職場に戻してあげる。そのための予算なのです。

フードスタンプ改革

その目玉政策が、フードスタンプの改革です。

フードスタンプというのは、低所得者向けに食事を無料で提供するという、アメリカの福祉政策の中でも一番大きな政策なのです。これを改革するということです。

※参考 フードスタンプ(Wikipediaより)

フードスタンプ (Food Stamp) とは、アメリカ合衆国で低所得者向けに行われている食料費補助対策。公的扶助の1つ。現在の正式名称は「補助的栄養支援プログラム」(SNAP, Supplemental Nutrition Assistance Program)。形態は、通貨と同様に使用できるバウチャー金券の一種。一般のスーパーマーケットでも使用できる。対象は食料品であり、タバコビールなどの嗜好品は対象外となる。

フードスタンプは、まさに低所得者向けの制度なのですが、実際にはこのフードスタンプに集まっている人たちというのは、単に働きたくない人たちが集まっているのが実態でした。

フードスタンプのロゴ

ジョージア州では独自にフードスタンプの制度を少し改革しています。このフードスタンプを受けられる条件として、「最低限の仕事をすること」という条件をつけたところ、大勢いたフードスタンプの受給者のうち、数千人の人たちがどんどんやめていって、もっとほかに簡単に受けられる制度に流れていってしまいました。

これを見ると、結局このフードスタンプに来ている人たちというのは、働きたくなかっただけの人たちだということがわかったわけです。

そこで、マルバニーの予算案は、先ほどのジョージア州の改革と同じように、フードスタンプを受けられる人たちの資格を厳しくしました。また一方で、では働いてみようという人が実際に働いてみて、収入が得られるようになったら、それを政府は評価し、もし子供がいたら子供の養育費は、働き始めた人には働くことのインセンティブとして、一定の金額の養育費を給付する。こんな内容も含んでいるのです。

このフードスタンプの改革によって、10年間で約2000億ドル(約20兆円以上)のお金が浮くことになります。

その浮いた分で、本当にこういう福祉政策が必要な低所得者のための資金を確保することができるようになります。

マルバニーは、

「この予算によって、今まで働いていなかった人たちが勇気を持って仕事を始めてみる

それでもうまくいかなくて、実際には仕事がだめになってしまう人もいるかもしれない。

それでも、その下にはセーフティネットという安全ネットが敷かれているので、安心して仕事をするという一歩を踏み出していけるようになる。

これこそが、社会福祉制度の本当の目的ではないか」

と言っています。

そのような内容だということがわかると、単に福祉カットの予算だとは思えません。「これからは、働かないと損だよ」という予算になっていると思います。

そして、「じゃあ働こう」という人たちのために、その仕事はトランプ政権が責任を持って、これから10年間、2500万人分の新規の雇用を増やすと約束しています。

福祉が経済成長をもたらす!?

さらに、マルバニー局長は重要なことを言いました。

「この福祉政策によって働く人が増えたら、それが経済成長につながる」

ということです。

福祉が、経済成長につながる?

これは、まったく新しい発想です。

そしてこれは、日本にとっても参考になると思います。「福祉が、経済成長につながる」そんなことができる秘密は、雇用を増やすこと。

Job Creationです!

 

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